【シリーズ調査 働く女性Real@】パートで働く女性423人に聞きました  ”103万円の壁”が150万円まで上がったら? 「もっと働く」は40%、「現状維持」が55%

 リビング新聞グループのシンクタンクである株式会社リビングくらしHOW研究所(所在地: 東京都千代田区、代表取締役社長 和田 直樹)では、人手不足の影響や、昨秋の社会保険の適用拡大、配偶者控除の要件が変わる税制改革などについて、パートで働く女性を対象にアンケート調査を実施し、423人から回答を得ました。
 
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【調査概要】
 期間:1月31日〜2月5日 / リビング新聞公式サイト「リビングWeb」でのアンケート
 調査対象:パートで働いている女性 / 有効回答数:423 
【回答者プロフィール】
 年代:20代以下4%,30代27%,40代38%,50代25%,60代以上6%
 既婚87%・独身13% / 子どもあり76%・なし24%


【パート女性の仕事への満足度は全体に高い。収入を増やすには「働く時間を増やす」】

 本調査では、パートで働く女性の約7割が今の仕事に「とても満足(12.1%)」「まあ満足(56.0%)」と回答しました。「少し不満(24.3%)」「不満(7.6%)」と答えた人の不満の内容(複数回答)で多かったのは「給料が安い(40.0%)」「待遇が上がらない(40.0%)」「職場の人間関係(31.1%)」など。

 しかし「年収への満足度」に絞って聞いた別の設問では、年収への不満(少し不満+不満)は47.5%に上りました。この年収への不満を解消する方法としては、「今の職場で働く時間を増やす(23.9%)」が最も多く、次いで「時給の高い仕事(パート)に転職(21.9%)」、「給与の高い仕事(社員など)に転職(20.9%)」。「今の職場で昇給できるようステップアップする(9.5%)」は少数派でした。

【人手不足! 37%の人が忙しくなる中、時給が上がった人はわずかに2割】

 人手不足が続くここ1・2年で、時給が上がったことを実感している人は19.6%と、全体の2割にすぎません。業種を見ると、「上がった」と回答した人が多いのは、「製造(36.4%)」、「飲食・フードの接客(28.6%)」、「物流・配送・軽作業(26.3%)」。

 一方で仕事が「忙しくなっている」と感じる人は、全体の36.9%です。特に変化が顕著なのが「保育士・幼稚園教諭」で、63.6%が「忙しくなった」と回答。次いで「教育(47.1%)」「医療・介護・福祉(45.3%)」。時給が上がったと答えた割合が特に小さい「保育士・幼稚園教諭(9.1%)」「教育(5.9%)」は、仕事の内容と収入のバランスが悪くなっている可能性があります。


【10年後は「ステップアップ」より「今の職場」「同じ仕事」。強い現状維持指向】

 パート女性たちは、将来の働き方についてどう考えているのでしょうか?
「10年後も自分が仕事をしている」と思う人は、全体では53.4%と半数以上。ただし50代ではこれが一気に31.1%まで下がり、「仕事をしていないと思う(35.8%)」に抜かれます。

 10年後の職場や仕事内容への希望を聞いたところ、「今の職場で同じ仕事をしていたい」という回答が30.5%で最も多く、「今の職場でステップアップ(12.4%)」「今の職場でよりゆとりを持って(9.7%)」を足すと、「今と同じ職場」を希望する人は52.6%。この現状維持の指向は年齢が上がるにつれて強まります。
 また別の職場も含めて10年後に「ステップアップして働いていたい人」は23.0%でした。


【19%の勤め先が社会保険の適用範囲拡大に該当。うち半数は「元々106万円以下」】

 今回の調査では、「103万円の壁」「130万円の壁」を意識して働いているパート勤務の女性は67.6%。昨秋から大きく変わり始めている、2つの壁に関して、現状や今後を聞きました。

 昨年秋から始まった社会保険の適用範囲の拡大(”130万円の壁“が従業員500人以上の企業では106万円に引き下げ)についての認知度は、全体の27.4%と、3分の1以下でした。

 パートの勤務先がこれに該当した人は全体の18.7%ですが、うち半数(50.7%)は、もともと106万円以内で働いていたため、影響なし。影響があった人のうち「働く時間を変えないで社保料を払い始めた」人は10.1%、「社保料を払っても手取りが減らないようにより多く働くことにした」人がこちらも10.1%。「保険料を払わないように仕事を減らした」人も15.2%いました。

 仮に、今後さらに範囲が拡大されて、自分の職場に「106万円の壁」が適用されるとしたらどうする?という質問には、34.2%が「社保料を払わなくてすむように働く時間を減らす」、18.6%が「手取りが減らないようにもっと働く」と回答しています。


【「103万円の壁」が150万円に上がっても、「働き方は現状維持」が55%】

 2016年の通常国会に提出されている配偶者控除等の税制改革(「103万円の壁」が150万円に引き上げ)については、「知っている」と答えた人は57.2%でした。

 この改革に「賛成」は49.9%。「反対」は6.4%ですが、「どちらともいえない」が43.7%もいました。

 「どちらともいえない」理由を聞いたところ、「主人の会社からの配偶者手当が103万円以内」(37歳)、「社会保険も同時に上がらないと働く時間は伸びない」(49歳)、「そんなに働きたくない」(46歳)、「個人的には歓迎だが、不足する税収が他で増税になるかもしれない」(55歳)などの声が。

 103万円の枠が広がることはある程度評価しながら、社会保険、税制、企業の福利厚生制度などと方向性が整理されていないことを指摘する声が目立ちました。

 さらに「この改革が実現したら、働き方を変えるか?」という質問には、「(従来の社会保険の扶養範囲である)年収130万円まで働きたい」が21.3%、「(配偶者控除枠の)150万円まで働きたい」が18.2%。合計39.5%の人が「もっと働きたい」と回答。

 ただし最も多かった回答は、「今の勤務時間などがちょうどいいので、変えるつもりはない(35.3%)」。「106万円の壁の範囲で働く(19.2%)」と合わせ、54.5%が今の働き方を維持したいと答えています。

リビングくらしHOW研究所HPで詳しいレポートを公開 http://www.kurashihow.co.jp/markets/8815/ 



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