vol.79

OLのためのフリーペーパー「シティリビング」がオフィスで働く女性の消費動向をガッチリ調査。
女性のマーケティングデータが満載です。

OLマーケットレポート

OLに支持されるファストファッション店とは? 百貨店とどう使い分けている?

トレンドのものが安く手に入ると評判のファストファッション店。近年海外から進出してくる店舗あり、プロモーションに有名モデルを起用してイメージの刷新をはかるブランドあり、とファッション界に新たな波を作っているこれらのブランド。価格の手ごろさから、学生はもちろんオシャレに敏感なOLたちも活用している様子。
今回は激戦のファストファッション店についていろいろ訊いてみました。ファストファッション店で購入したくないものは? 百貨店との使い分けは? OLは各ブランドをどう位置づけしている!?

設問

調査概要

  • 調査期間:2009年5月
  • 調査方法:シティリビング公式サイト 「Citywave」上にアンケートページを掲出
  • 集計数:411人 (不明・非該当を除いて集計)
  • 平均年齢:32.5歳

1ファストファッション店利用経験と今後利用したい店舗

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最も利用者が多いのは「ユニクロ」で95.4%。次いで「GAP」「ZARA」が上位に挙げられ、順位は日本国内の店舗数に比例する結果になりました。今後利用したい店舗は「ユニクロ」が1位ながら、TV等で話題となった「H&M」53.3%と「FOREVER21」51.1%も上位に挙げられています。

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2ファストファッション店を利用したい理由

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ファストファッション店を利用したい理由を聞くと、「安い、価格、値段、リーズナブル」というプライスに関するキーワードが多いものの、「デザイン、流行、かわいい」という商品への評価、「手軽、気軽」や「豊富」という利用のしやすさ、「品質が良い」というクオリティへの評価も少なくありません。ポイントは“「安い」にも関わらず○○○だから”。

安くてかわいい

  • 安くてかわいいものが手に入るから。(30歳・未婚)
  • 安くて可愛い部屋着やちょっとしたお出かけならこの程度で十分。(32歳・既婚)
  • 手頃で可愛いアイテムや掘り出し物が多いから。(33歳・未婚)

安くてデザインが...

  • デザインが豊富で、手ごろな価格なので、品質と価格に納得すれば利用したい。(26歳・未婚)
  • 価格が安いから。新しいデザインへの入れ替えが早く、飽きが来ないから。(30歳・未婚)

安くて流行のものが...

  • 流行の服が安く買えるから。流行が過ぎれば着なくなるので。(29歳・未婚)
  • 手頃な価格で流行のファッションに挑戦出来るので。(32歳・既婚)

手軽で気軽で豊富だから...

  • 手頃で定番の品が手軽に手に入れられるから。(28歳・未婚)
  • シンプルなものは長く使いたいし、安かわいいは、ファッションのアクセントに気軽に使えるので。(33歳・未婚)
  • 種類、サイズが豊富だから。(26歳・未婚)

安くて品質も...

  • 手ごろな値段で品質も満足なものが買えるので。(32歳・未婚)
  • 安いから。ユニクロは品質もあなどれないと思う。(33歳・既婚)
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3OLが抱く各ファストファッション店のイメージ

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各店のイメージを比較すると、ユニクロは「値ごろ感がある」「品質が良い」「品揃えが豊富」「立地がよい・買いやすい」、GAPは「品質が良い」「デザインが良い」、H&Mは「トレンド感がある」、ZARAは「デザインが良い」「トレンド感がある」、FOREVER21は「トレンド感がある」「よく分からない」、TOPSHOPは「よく分からない」が他ブランドと比較して有意で多くなっています。

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このデータをコレスポンデンス分析※でみてみると「品質」「立地」「値ごろ感」が特徴のユニクロ、「デザイン」「トレンド感」が特徴のZARA・H&M、その間に位置付けられるGAP、ZARA・H&Mと同様に「デザイン」「トレンド感」があるもののまだ「よく分からない」人もいるFOREVER21、多くの人が「よく分からない」TOPSHOPという各ブランドのポジションが分かります。
※コレスポンデンス分析…複数の変数間の類似度や関係の深さを調べるための手法

●フリーアンサーで見る各店の上記イメージキーワード

フリーアンサーでも上記の結果と同様なキーワードが上位に挙げられています。

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4ファストファッション店の利用方法

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全体では「流行に左右されない下着などアウター以外のものを購入することが多い」が44.3%でトップ。次いで「流行モノのアウターを購入することが多い」22.9%、「衣服全般をファストファッション店で購入することが多い」20.0%と続きます。 各店の利用者別にみると、「流行に左右されない下着などアウター以外のものを購入することが多い」がユニクロ・GAP・ZARAユーザーで多く、「衣服全般をファストファッション店で購入することが多い」はTOPSHOP、「流行もののアウターを購入することが多い」はFOREVER21が有意で多くなっています。

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5ファストファッション店で購入したいもの・したくないもの(フリーアンサー)

ファストファッション店で購入したいもの、したくないものについてフリーアンサーで訊きました。多かったキーワードを抽出すると…

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大まかに分けると、購入したいものはインナー系、購入したくないものはアウター系と言えます。両方に挙がった「下着」は、“数が多いと便利なアイテム”なので買いたいという意見があるなか、“直接肌に触れる上、身体にぴったり合うものをつけたい”から専門店で買いたいという意見もありました。

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6ファストファッション店と百貨店・セレクトショップの使い分けは?(フリーアンサー)

ファストファッション店と百貨店・セレクトショップの使い分けのポイントを訊いたところ、百貨店・セレクトショップでは「長く着たい」(43)「アウター」(17)「スーツ」「お出かけ着」(11)「コート」(8)「フォーマル」(4)を購入し、ファストファッション店では「流行」のもの(24)「インナー」(24)「普段着」(17)「部屋着」(11)「カジュアル」(9)を購入する、という意見が多く挙げられました。上記以外のユニークな意見を紹介すると...

あえて定番モノをファストファッション店で

  • 世間では流行ものをファストファッションで揃える、と言われているが、私は逆に定番アイテムをファストファッションのお店で買う。どこで買ったかわからないし、どんどん着ても新しいものをすぐ買える価格だから。(28歳・未婚)

チェックは百貨店、購入はファストファッション店

  • 百貨店などで流行チェック、流行ものはファストファッション店で(31歳・未婚)
  • まずは百貨店などでゆったりと欲しいものの目星をつけてから、個性を出したいものやファストファッション店で安価でもっと良いものがあるかなど幅を広げて見に行きます。(28歳・既婚)

私の通勤服はファストファッション店

  • 通勤服で頻繁に使うものはファストファッション店で買う。百貨店はプライベート用。(27歳・未婚)

これまでの実績と接客で...

  • 機能がしっかりしているものに関してはファストファッションでも良いが、それだけ実績を残さないと基本的に信用するのは難しい。百貨店は接客がしっかりしているし、試着などもゆっくりできるので、メインの買物は百貨店。(33歳・未婚)

特に分けていない

  • 特に分けてはいません。洋服は一番:インスピレーション、二番:着た時のシルエット、三番:価格の三評価で決めています。(33歳・未婚)
  • ここ2〜3年で、ファストファッションのクオリティやデザイン、縫製の質がとても向上してきたので、百貨店やセレクトショップで高価なブランドものを購入する機会が少なくなって来ている。正直な所、使い分ける必要性を感じていません。(44歳・未婚)
  • とくに使いわけというのはないが、物に似合った値段と納得したものを選んでいる。かわいくて、安かったらいい。(30歳・未婚)
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<まとめ>
  • 利用経験が最も多いファストファッション店は「ユニクロ」で95.4%。次いで「GAP」「ZARA」が上位に挙げられ、順位は日本国内の店舗数と同様の結果になりました。今後利用したい店舗は「ユニクロ」が1位ながら、TV等で話題となった「H&M」「FOREVER21」も上位に挙げられています。
  • ファストファッション店を利用したい理由は、「安い、価格、値段、リーズナブル」がキーワードとして多いものの、「デザイン、流行、かわいい」という商品への評価、「手軽、気軽」や「豊富」という利用のしやすさ、「品質が良い」というクオリティへの評価も少なくありません。ポイントは“「安い」にも関わらず○○○だから”。
  • OLが抱く各ブランドのイメージでは、“品質が良く値ごろ感があり、シンプルなスタンダードアイテムが豊富にある”「ユニクロ」、“シンプルなものからデザイン性のあるものまでカラフルなものが揃う”「GAP」、“デザイン性が高く値ごろ感もあるが少し若者向けの”「H&M」、“OL向けの大人なデザインが色のラインナップも多彩に揃い、値ごろ感がある”「ZARA」“デザイン性が高く、若いおしゃれな服が揃うが値ごろ感が低くまだまだ認知が浅い”「TOPSHOP」、“若くかわいいトレンド商品が安いと話題だが、認知が低く品質に関してなど分からない点が多い”「FOREVER21」と言えます。
  • ファストファッション店の利用方法は、「流行に左右されない下着などアウター以外のものを購入することが多い」が44.3%でトップ。次いで「流行モノのアウターを購入することが多い」、「衣服全般をファストファッション店で購入することが多い」と続きます。各店の利用者別にみると、「流行に左右されない下着などアウター以外のものを購入することが多い」人はユニクロ・GAP・ZARAユーザーで多く、「衣服全般をファストファッション店で購入することが多い」人はTOPSHOP、「流行もののアウターを購入することが多い」人はFOREVER21で多くなっています。
  • ファストファッション店で購入したいもの、したくないものをフリーアンサーで訊くと、購入したいものとして挙がったものの多くが「Tシャツ」や「インナー」といった“見えないもの”で、「コート」「ジャケット」「スーツ」といったアウターが購入したくないものとして挙がりました。両方に挙がった「下着」は、“数が多いと便利なアイテム”なので買いたいという意見があるなか、“直接肌に触れる上、身体にぴったり合うものをつけたい”から専門店で買いたいという意見もありました。
  • ファストファッション店と百貨店・セレクトショップの使い分けを訊くと、百貨店・セレクトショップでは「長く着たいもの」「アウター」「スーツ」「お出かけ着」「コート」「フォーマル」を購入し、ファストファッション店では「流行」のもの「インナー」「普段着」「部屋着」「カジュアル」を購入する、という意見が多く挙げられました。
  • 新しいブランドが増え、それぞれの特徴があるファストファッション店。その中でOLはブランドごとに特徴を捉えて使い分けをしています。ファストファッション店と百貨店などの使い分けだけではなく、ファストファッション店の中でもイメージが分かれていることがわかりました。
  • ファストファッションでは、「安さ」と「品質」、「安さ」と「デザイン性・トレンド感」は両立できているものの、「安さ」と「品質」と「デザイン性・トレンド」の3つを兼ね備えたブランドはまだないようです。また、百貨店やセレクトショップは「品質」と「デザイン性」は高く評価されているものの、「安さ」ではファストファッションにはかなわないのが現実です。商品とターゲットに合わせてこの“3大要素”のバランスを如何にとるか、ここに多くの支持を獲得するためのポイントがあると言えるでしょう。それぞれの業態の良さを活かしつつ、垣根を越えた新しいファッションを是非提案していただきたいものです。